職場の飲み会で、その日は所謂お偉いさんの接待飲みでした。
お偉いさんは60代の男性。
声が大きい事この上なく、まわりのお客さんも振り向いてこちらを見ています。
私たちまで同類だと思われてしまうのが嫌でした。
そして何より下品な事を言ったり隣の若い女性にタッチするのは見苦しい行動でした。
これは接待というより別物のような気がすると思いながら、他の人を見回すとひときわ苦い顔をしている女性が。それはいつもニコニコしている20代のA子ちゃんです。
「いつも笑顔、おしゃれでみんなに好かれるAちゃんが、あんなしかめっ面をしているなんて!」と内心ドキドキしながら見ているとお偉いさんがよりによってA子ちゃんに「お酌してぇ」と赤い顔で言い寄ります。
するとA子ちゃんはものすごい笑顔で「ご自分でどうぞぉ!」と言い放ちました。
一瞬時が止まったように静かになり、慌てて上司がお酌をしていましたが変な空気はそのまま。
そして、次の瞬間若さゆえの怖いもの知らずってすごいなと思う出来事が。
A子ちゃんは「あのー、帰っていいですか?夜遅くまで飲むとお肌に悪いんで。」と言って帰って行ったのです。
一同ポッカーンでしたが私は心の中で拍手をしていました。
最悪なお酒の席でしたが、あのお偉いさんにとっては時代が変わったのだと思い知らせることができたのではないかと感じました。