以前勤めていた会社の社長はとても厳しく真面目な人でした。
毎朝誰よりも先早く出勤し掃除をして、仕事に取り掛かる。
社員のミスには厳しく指導するような人。
特に社内での上下関係には厳しい人でした。
社長に用事がある時は必ず直属の上司に許可をとってからというもの。
基本は上司が社長に話をするので、下の立場の人が社長と直接話す機会もありません。
社長は飲み会等にもほとんど参加しない人だったので、顔は見かける事があっても話す事は稀でした。
入社して3ヶ月経ってから、会社設立30周年記念パーティが行われました。
下っ端の私はパーティに参加というよりは裏方仕事でした。
受付をしたり、スライドのコントロールをしたり、パーティ中に会場で飲み食いする事は無かったのです。
その日は無礼講とばかりに皆お酒をのみ、気持ち良く酔っていました。
最後の方で社長から一言コメントをしてもらう予定でした。
社長は社員に対する感謝の気持ちや会社への愛情を肩っていましたが、お酒の勢いもあったでしょう。
いつも冷静な雰囲気の社長が熱く語り始めました。
「うちの社員は本当によく頑張っている、皆は気付かないかも知れないがこの会の最初からずっと裏方で頑張っていた〇〇君(私の名前)みたいな社員に支えられている事を忘れてはならない、皆は帰りに〇〇君にちゃんとお礼を言うように!」とのコメント。
普段は話す事の無い社長なのにしっかり見てくれていたんだと感動してしまいました。